食中毒といえば、「夏」または「梅雨」というイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。実際、夏場(7~9月)は、一年の中で最も多くの食中毒が発生しています。
ところが、近年では冬もノロウィルスなどの食中毒の発生が増えてきており、
全く油断できない状況となっています。
また、飲食店、ホテル・旅館などの食品に携わる事業者は、HACCPの義務化に伴い、一年を通じて食中毒対策、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が求められることになりました。

食中毒の原因は細菌・ウィルス、化学物質、自然毒、寄生虫などがありますが、中でも多くを占めるのが細菌・ウィルスです。まずは、細菌・ウィルスについて、正しい知識を身につけ、食中毒の予防に役立てていただけたらと思います。

食中毒の原因となる細菌・ウィルス

食中毒菌 潜伏期間 症状 主な原因
吐き気 嘔吐 腹痛 下痢 発熱 その他
黄色ブドウ球菌 1〜3時間 ショック症状 おにぎり、サンドイッチなど
調理者を介在
セレウス菌 [嘔吐型] 30分〜6時間 チャーハン、やきそば、
ピラフなど
セレウス菌 [下痢型] 8〜16時間 チャーハン、やきそば、
ピラフなど
ウェルシュ菌 6〜18時間 カレー、煮込み料理など
ボツリヌス菌 8〜36時間 視力障害、
言語障害、
神経症状
缶詰、
レトルト食品など
腸炎ビブリオ菌 10〜20時間 魚介類
ノロウィルス 1〜3日間 二枚貝や井戸水、
ヒトによる二次汚染
カンピロバクター菌 1〜7日間 けいれん 生肉(特に鶏肉)、卵など
リステリア・
モノサイトゲネス
1〜21日間 筋肉痛 乳製品、生肉、
生野菜など
腸管出血性大腸菌
(O157など)
3〜9日間 血便 加工食肉製品など

細菌とウイルスの違い

細菌

細菌は、栄養源があり一定の条件が揃えば、自分と同じ細菌を複製しながら、自力で増殖することができます。調理後の食品内で増殖し、食中毒をひき起こすのも細菌が原因です。

ウィルス

ウィルスは、タンパク質と核酸からなる構造体です。
ウィルスは、細胞を持たないので、細菌と異なり、栄養源があっても、単独では増殖することができません。他の生物の生きた細胞に寄生(感染)して自己を複製することでのみ増殖します。抗生物質は細菌には効きますが、ウイルスには全く効きません。

HACCP(ハサップ)とは、アメリカのNASAが考案した衛生管理の方法です。万一、宇宙空間で食中毒が発生してしまうと治療もできず、死活問題であることから、食中毒を起こさない為の高度な衛生管理が必要でした。そこで、NASAが考案したのがHACCPです。
製造工程のどの段階で、どのような対策を講じれば危害要因を管理(消滅、許容レベルまで減少)できるかを検討し、その工程(重要管理点)を定めます。そして、この重要管理点に対する管理基準や基準の測定法などを定め、測定した値を記録します。これを継続的に実施することが製品の安全を確保する科学的な衛生管理の方法です。この手法は、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization)と世界保健機関(WHO: World Health Organization)の合同機関であるコーデックス委員会から示され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは、
厚生労働省がHACCPの制度化に伴い、新たに設けた日本独自のHACCP基準で、HACCPの考え方を踏襲しながらも、一般飲食店や小規模事業者が取り組みやすい簡易的なHACCPです。



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