HACCPは、米NASAで宇宙食の衛生管理として採用された
世界で最も優れた衛生管理の手法と言われています。
しかし、HACCPは完璧なもの(ゼロリスクを保証するもの)ではありません。
HACCPに限った話ではないのですが、「完璧」を求めすぎてしまうと、
ハードルが高くなりすぎてしまい、やるべきことが増え、実際にはやりきれず、手抜きが行われ、最終的には失敗(大きな事故等)につながることも少なくありません。
もし、「100%完璧な衛生管理」を求めるとなると、
全ての工程を重要管理点(CCP)のように監視し、更に一般衛生管理(前提条件プログラム)部分まで監視するような、徹底管理をすることになり
人員だけでなく高度なシステムも必要になり、とても現実的ではありません。
HACCPは、
「100%完璧な衛生管理という建前」 ではなく、
「限りなくリスクをゼロにすることを目指した合理的で現実的な衛生管理という本音」です。
HACCPでは、特に深刻な被害をもたらす危害要因をCCPとして徹底的に管理し、その他の危害要因については、一般衛生管理(前提条件プログラム)というもう少し軽い管理方法で管理します。持っている人員や資金をフル活用し、背伸びすることなく、取り組めるところがHACCPの素晴らしいところです。
今後、全ての飲食店や食品事業者がHACCPを導入したとしても、食中毒をゼロにすることは難しいでしょう。 それでも食中毒の発生件数を1/100、1/1000に劇的に減らす、大きなポテンシャルを秘めています。