2019年4月の入管法改正により、外国人の在留資格として「特定技能」というものが創設されました。
日本語と各分野の技能に関するペーパーテストに合格した外国人に、在留資格が与えられるというものです。

特定技能には、様々な分野があり、その中に「外食」という分野があります。
この度、その「外食」が特定産業分野に指定されたことから、
飲食店などの外食関連企業では、特定技能1号外国人を最大5年間、雇用することができるようになりました。

外食業技能測定試験では、HACCPが必須

外食業技能測定試験には、衛生管理やHACCPに関する問題が多く出題されており、飲食店のHACCPの義務化(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)を意識した内容になっています。具体的には、

  1. 基本的な衛生管理の知識 
      (1) 食中毒に関する基礎知識
      (2) 食中毒予防3原則
      (3) 食中毒をひきおこす代表的な細菌やウイルス
  2. 般的衛生管理の知識 
      (1) 原材料の受入れの確認
      (2) 冷蔵・冷凍庫の温度の確認
      (3) 交差汚染・二次汚染の防止
      (4) 調理器具などの洗浄・消毒・殺菌
      (5) トイレの洗浄・消毒
      (6) 従業員の健康管理・衛生的な作業着の着用など
      (7) 衛生的な手洗いの実施
      (8) 清掃管理(調理場)及び廃棄物処理について
  3. HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の知識
     (1) HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは
     (2) 重要管理のポイントについて
     (3) グループ1「加熱しないもの」の管理方法について
     (4) グループ2「加熱するもの」の管理方法について
     (5) グループ3「加熱と冷却をくりかえすもの」の管理方法について
     (6) その他の重要な管理ポイントについて
     (7) 衛生管理の記録について

といった内容で、HACCPのポイントはしっかり押さえられているなという印象です。
試験合格者は、日本語のスキルに加えて一定レベルの衛生管理やHACCPの知識を有している優秀な人材であると言えるのではないでしょうか。

HACCP(ハサップ)とは、アメリカのNASAが考案した衛生管理の方法です。万一、宇宙空間で食中毒が発生してしまうと治療もできず、死活問題であることから、食中毒を起こさない為の高度な衛生管理が必要でした。そこで、NASAが考案したのがHACCPです。
製造工程のどの段階で、どのような対策を講じれば危害要因を管理(消滅、許容レベルまで減少)できるかを検討し、その工程(重要管理点)を定めます。そして、この重要管理点に対する管理基準や基準の測定法などを定め、測定した値を記録します。これを継続的に実施することが製品の安全を確保する科学的な衛生管理の方法です。この手法は、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization)と世界保健機関(WHO: World Health Organization)の合同機関であるコーデックス委員会から示され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理とは、
厚生労働省がHACCPの制度化に伴い、新たに設けた日本独自のHACCP基準で、HACCPの考え方を踏襲しながらも、一般飲食店や小規模事業者が取り組みやすい簡易的なHACCPです。

「特定技能」 は、外食産業の救世主!?

以前の日本では「単純労働」には、労働ビザを発給しない仕組みになっていました。
しかし、深刻な人材不足を受け、2019年4月の入管法の改正により、
新たな在留資格として「特定技能」が創設され、外国人が外食産業に従事することができるようになりました。

今後、日本人の労働者人口は減り続けていきますので、飲食店などの外食産業を中心に外国人労働者が増えていくのは確実です。大変残念なことではありますが、
今後、日本人の若手の労働者は、どんどん減り続けますので、特定技能ビザを持つ外国人に頼らざるを得ない社会になると思います。

2020年6月には全ての食品事業者(飲食店や旅館・ホテルを含む)を対象にHACCPの義務化がスタートします。今後、飲食店や旅館・ホテルなどの食品事業者にとって、
従業員への衛生管理及びHACCPに関する社内研修などの指導・教育への負担が増加することになるかと思いますが、
特定技能ビザを持つ外国人は、英語等の外国語+日本語のスキルに加えて、HACCPの知識も有していますので、HACCPの義務化対策や外国人観光客への対応という点でも最適な人材です。

現在、人手不足に悩んでいる飲食店は、一度、外国人の採用を検討してみては如何でしょうか?




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